イート•ザ•ワールド

ワセジョのカフェ店長は世界のご飯を食べてみたい

ガイドブックの質は掲載されたレストランで決まる

買いました

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三月末に父親とベトナムに旅行に行くので、買っておきました。

個人的ガイドブックランキング圧倒的一位の「地球の歩き方」(ダイヤモンド社)。何が良いって、レストランのチョイスがいい。最高。どの国行ってもどの都市行ってもどの店行っても、地球の歩き方に乗ってる店ははずれが無い。最近流行の女子受け狙いなかわいい系ガイドブックは、確かに若い女性グループ向けな店がチョイスされてはいるんだけれど、うーんという感じ。食べる為に海外に行っている私個人としてはやっぱり味と雰囲気にはこだわりたい。キャッチーじゃなくてもいいから、名店と呼ばれるレストランに行きたい。その国、都市にもう一生行けないのかもしれないのだから、最高を味わいたい。

 

となると、「地球の歩き方」に乗っているレストランの数々は、ある意味観光客向けでもある。そこに住んでいる人々は、相当な美食家でもない限り名店と呼ばれるレストランに足しげく通うことは無いんじゃなかろうか。記念日などは別として。事実、付加価値税(VAT)を導入しているヨーロッパではスーパーで売られる食材は安く、レストランの食事の価格は高くなるので、ヨーロッパで暮らす人々は普段は外食を控え、家で食事をとることがが多い。しかし観光客なら、これが最後のチャンスかもしれないと食事に対してお金を奮発できる。かくいう私も、パリのル•ブリストルに行ったことはあってもすきやばし次郎には未だ行ったことがない。「地球の歩き方」は中の上〜ここぞという高級レストランが充実していて、一生に一度の機会を楽しむ旅行者のニーズにとてもぴたりときているんじゃないかと思う。国や地域ごとに少しずつレイアウトや特集、地図の形式が違うのも面白い(NY版の切り取りハンドマップはぐしゃぐしゃになるまでお世話になった)。

 

そんな「地球の歩き方」信者の私がおしゃれな表紙の正方形のガイドブックたちを読むと、あまりのレイアウトのかわいらしさにくらくらする。現地人の写真が切り取り貼付けられ、「いや、絶対言ってないだろ」と思うような台詞を吐いている。勿論吹き出しは雲形だ。全てのページをあのかわいさにするには相当な労力がかかっていることだろう。実際周りの女子大生にはその辺の信者が多い。しかしなんでもかんでも「必須!」みたいな感じで書いているのが、私にはどうしても許せない。かわいいから必須って、なんのために旅行してるんだ?女子力?

そもそも海外旅行における「かわいさ」とはなんなのだろう。ロンドンのコヴェントガーデンの町並み?それともプラハの小川の先に浮かぶ気球?でも、例えばロンドンだったら、アフタヌーンティはかわらしいナイルの水色のフォートナム&メイソンよりも、重厚な雰囲気の中で最高のスコーンを提供してくれるブラウンズのほうが、充実感も非現実感も舌の幸福も味わえると思う。

単に光景や雰囲気を「かわいい!」と思うだけでなく、その「かわいさ」の裏の歴史や、街の構造を考えてほしい。「日本にはなんでここみたいにかわいい場所が無いんだろう」と思う前に、「どうしてこんな風にしたんだろう」と考えてほしい。

きっとそこにはヴェネチアの「漁師が灯りの無い夜に帰ってきても自分の家がわかるように家をカラフルに塗った」みたいなストーリーがあるはずだ。

 

(ちなみにベトナム版「地球の歩き方」の特集、素晴らしい!この網羅性、さすがの一言。)

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ホーチミンで何を食べようか迷っているだけで、よだれがとまらない…